静かさ(推定)の作り方と限界:何から計算し、何が分からないか
しずあんの「静かさ(推定)」は、騒音計で測った値ではありません。騒がしさにつながりやすい条件を公開データから集め、0〜100 点にまとめた推定です。このガイドでは、その作り方と、推定では分からないことを説明します。
なぜ「推定」なのか
道路交通騒音などの常時監視の結果は、行政から地図画像などの形で公開されています。しかし、東京のすべての町丁目を同じ条件で数値として比べられるデータは、当サイトが調べた範囲では見つかっていません(2026年9月時点)。そこで、音の原因になりやすいものが町丁目のどれくらいを占めているかを数え、点数にしています。
4 つの材料と重み
点数は、次の 4 つの材料を重み付けして足し、100 から引いたものです。材料が多い町丁目ほど点数が低く(にぎやか寄りに)なります。
- 用途地域(35%):商業地域・近隣商業地域・工業系の地域が町丁目の面積に占める割合です。東京都都市整備局の都市計画のデータを使っています。住宅系の地域が多い町丁目ほど点数が上がります。
- 夜間営業の店の密度(30%):OpenStreetMap に登録されたバー・パブ・ナイトクラブ・カラオケ店などの、面積あたりの件数です。居酒屋は 0.5 件として数えます。
- 幹線交通との近さ(25%):高速道路・国道などの幹線道路の両側(幅 60m)、地上を走る鉄道の両側(幅 40m)、空港から 3km の範囲が、町丁目の面積に占める割合です。鉄道の地下区間は除いています(道路はトンネル区間も含めて数えています)。
- 駅の乗降客数(10%):町丁目の中心から 500m 以内にある駅の乗降客数の合計です。人の流れが多いほど点数が下がります。
店の密度と乗降客数は、そのままでは数の大きい繁華街が極端な値になるため、対数をとり、固定の基準値(店は 1km² あたり 600 件、乗降客数は 1 日 1,400,000 人)に対する比にしています。基準値を固定しているので、将来ほかの地域を加えても物差しは変わりません。
重みと基準値について
重み(35・30・25・10)は当サイトが決めた設定で、騒音の実測値に合わせて調整したものではありません。点数はおおまかな目安として使ってください。2 つの基準値は、東京の 0 でない値の 99 パーセンタイルを丸めたもので、いちばんにぎやかな場所だけが上限に届くようにしています。公開前には、よく知られた繁華街と閑静な住宅地の決まった一覧で、それぞれが想定どおりの側に分かれることを確かめました。
5 つの帯
点数は次の帯で 5 段階に分けています。帯の境目は固定です。
| 階級 | 静かさ(推定)の点 |
|---|---|
| とてもにぎやか | 0 – 40 |
| にぎやか寄り | 40 – 55 |
| 平均的 | 55 – 75 |
| 静か寄り | 75 – 88 |
| とても静か寄り | 88 – 100 |
地図で静かさを選ぶと、柱の高さは「にぎやかさ」(100 から点数を引いた値)になり、とてもにぎやかな町丁目からは波紋が広がります。色は緑がかった青が濃いほど静か寄りです。
推定では拾えない音
- 建物の中の聞こえ方:窓の性能、部屋の向き、階数で、同じ場所でも聞こえる音は大きく違います。
- 一時的な音:工事、イベント、季節のお祭り、救急車やパトカーのサイレンは入りません。
- 登録されていない店:夜間営業の店は OpenStreetMap に登録されたものだけを数えています。
- 飛行ルートの下の音:空港は 3km の範囲だけを見ていて、離着陸ルートの下にある地域の音は反映していません。
- 道の一本裏:幹線道路から少し離れた静かな一角も、町丁目の面積に占める割合で計算するため、町丁目全体の点数に埋もれます。
点数の使い方
静かさ(推定)は、たくさんの町丁目をざっと見比べて、候補を絞るのに向いています。たとえば、宿や住まいの候補が「にぎやか寄り」の帯にあるなら、口コミで夜の音について書かれていないか確かめる、というように、次に調べることを決める手がかりにしてください。点数だけで決めるのではなく、現地の様子や建物の情報とあわせて判断することが大切です。
成分データの公開
町丁目ごとの 4 つの材料と点数は、quiet-derived.csv として Open Database License(ODbL)で公開しています。計算式の全文はデータと手法をご覧ください。
地図で「静かさ(推定)」のタブを選ぶと、東京全体の傾向を立体で見られます。旅行で使う場合は滞在エリアを選ぶ時のポイントもあわせてどうぞ。